1/1page 神の生誕を祝うという一日。 ───生まれて初めて、恋人と過ごすクリスマスとなった。 「メィル、これ、クリスマスプレゼント」 太陽はすでに地平線のかなた。 本来、闇に包まれているはずだというのに、外はネオンの光に包まれていた。 ちょっとリッチなレストランの中、私はククールからプレゼントを貰った。 そこで私は、プレゼントを用意するのを忘れていたことに気付く。 「ありがとう、開けていい?」 けれども、プレゼントを貰ったということは素直に嬉しい。 可愛い包みを開けると、中にはクマのぬいぐるみが入っていた。 「わぁ、可愛い!ありがとう、私、大切にするね」 ククールは喜ぶ私を見て、満足そうな顔をした。 「ギャルが大量発生している中、勇気を出して買ったんだぜ」 あいつら『ぱねぇ』の一言で会話するからすげぇよな、と彼が言って、二人で笑う。 ククールがくれたのは、白いクマのぬいぐるみ。大きさ的には、その辺にある本くらい。 こんなに可愛いぬいぐるみを貰いっぱなしなのは心が痛くなる。 今から適当なものを集めて錬金術でプレゼントを作ろうか。一応、手作りということになるはず。 「ごめんなさい、私、プレゼント用意してないの…」 だが、その適当な材料というのも思い当たらないので、正直に言うしかないのだ。 顔を下げ、心臓をバクバクさせながらククールの言葉を待っていると、思いの外、優しい声音だった。 「別に気にしないぜ。そうだな、どうせメィルのことだから『貰いっぱなしは悪いから心が痛くなる』とかそんなんだろ?」 そう、まさにそんな心境なのだ。 そして、ククールは私の耳元で囁いた。 「だったらキスして?それがプレゼントってことで」 私は顔を真っ赤にしてククールを見つめた。 ああ、サンタとサタンってよく似ているが、まさに今の彼はサンタではなく、神に逆らった悪魔だ。 でも、やはり貰いっぱなしはよくない。そういうふうに育ったからなのだろう。 私はそっと触れるだけの口付けをした。 来年はちゃんと、プレゼントを買っておこうとひそかに決意した。 「メィル、窓見てみろよ」 言われ、窓に目をやると、いつの間にか雪がネオンの光で輝いていた。 「雪…」 「ホワイトクリスマスだな」 雪は、あまり好きではない。けれど、幻想的な町のおかげなのか、綺麗だと思えた。 「来年もホワイトクリスマスになるかな?」 「わからないけど、来年のクリスマスも一緒に過ごしたいね」 冀はくは─── (出来る限り、あなたのそばに…) <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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